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ある日森の中

ただただ適当に

ライトノベルを再び読む試み その2

先日買ってきたラノベ3冊、1冊読み終わったところだったのですが今日残り2冊を読み終えましたので簡単に感想でも。あと3冊読み通しての所感もすこし書きたいと思います。ネタバレ注意ということで。まずはこれから。

 

安達としまむら (電撃文庫)

安達としまむら (電撃文庫)

 

 授業をさぼりがちな女子高生安達としまむらの"日常"がとある気付きによって少し変化していく様子が綺麗に描かれた作品。読みながら本当にドキドキしてしまいました。シリーズ初巻となったこの作品では比較的安達にスポットが当てられて書かれることが多く、この後の続巻ではしまむらもいろいろ変わっていくのかなと期待が持てた。

単なる日常生活が淡々と書かれるだけかと思いきや、突然ファンタジー的要素が放り込まれて唖然としたまま読者としての私が巻き込まれていってしまうのは文章としての完成度の高さを物語っていると思う。本当に読んでいてドキドキさせてもらったし、「ああああ」と読みながら布団で身悶えさせられた。正直先に読んだ『青春ブタ野郎』より読後の余韻が残り、『青春ブタ野郎』が家で食べるおやつとすればこの作品は鎌倉のイワタコーヒーで食べるパンケーキみたいな感じだろうか。食べた記憶は正直無いのだけど。これは確実に続き読みたい。読みます。

さてお次はこちら。

 

 ライトノベルレーベルが主催する新人賞の一次選考において二次選考に進める作品を選定する下読みをバイトにしている主人公風谷青ととあるきっかけにして出会うことになったクラスで冷ややかな態度で孤高の存在になっている少女氷ノ宮氷雪の間で紡がれる「爽やかな青春創作ストーリー(作品紹介より)」。

本当に「圧巻」の一言。最初から最後まで一気に読み通してしまったし、最後のいち文を読み終えた時の興奮が本を閉じても醒めやらない感覚は本当に久しぶりに味わえたなと思う。野村美月氏の作品は"文学少女"シリーズも大好きだったのだけど、本当にこの作者は「本(作品)を読む」という行為にとてつもなくこだわりを持っているのだなあと実感できた。あとがきでも"文学少女"について触れられていたので作者としても(直接の関与はもちろん無いにせよ)リンクするところはあるのかなと思った。ここまで読書という行為を瑞々しく描けるものなんだと改めて敬服。ただ主題はそこだけでなくて、きっちりと恋愛も描かれているのが本当に良かった。

最初は「ライトノベル作者の書くライトノベル論に近いのかな?」と思ったけれど紛うことなき「青春創作ストーリー」だった。王道的な自分のことには超鈍感主人公の「気付き」の瞬間は王道と分かっていながらも色褪せない魅力を感じさせる。"文学少女"シリーズでは少し柔らかな文体なのかなと思ったところもあったけれど、この作品ではストーリーの魅力を引き出す比較的ストレートな文体であったのだけれど時折、特に後半に入る鋭い感情、言葉のやり取りはさすがだなあと感服。そして最後はきれいな幕切れ。最初から最後までストーリーが完成させられていて、あとがきから推察するに続巻もおそらくないだろうがそれでいい、と思わせてしまうほどの綺麗な終わり方だった。本当に良かった。『安達としまむら』がパンケーキならこれはランチのフルコースくらいだろうか。それくらいしっかりとした印象を持った。この感想文の分量を見てもらえればその衝撃は分かると思う。

というわけで3作品読ませていただいた。誤解してもらいたくないのはいろいろ上からな雰囲気で評価しているけれども、今回読んだ作品は全て素晴らしいと思ったのである。それぞれ持ち味があって、それを表すのが「おやつ」「パンケーキ」「ランチのフルコース」である。全部おいしかったのよ。

そして「読めるようになるだろうか」という疑問に対する答えは紛うことなき「YES」である。まあもともと読んでたわけだしそんなに嫌悪感を抱くこともないわけだけど。ただ今回選んだ作品はいわゆる中堅どころかそろそろベテランに位置するであろう作者の作品であったというのがある。新進気鋭の作家の作品を読んでみないとまだ判断がつけにくいところがあるが、「"今の"ライトノベルも恋愛は描くし、ドキドキさせてくれる」と一端決着させる。もう少し貪欲に開拓してみて傾向としてどうなのかを引き続き追っていきたい。

読書ってやっぱり楽しかった。うん。