ある日森の中

ただただ適当に

耳が弱い話

人間には五感というものがある。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚というアレだ。これ以上の感覚があるかどうかは知らないが、人間の知覚はこの5つに大きく支配されていることは間違いないだろう。この中で大きなウェイトを占めているのが視覚だ。軽く調べてみると85%くらいは視覚情報で成り立っているらしい。次点に来るのが聴覚らしいが今回はこの話。

確かに私達が生きているこの世界を「感じる」時に、「見る」ことと「聴く」ことというのはとてつもなく重要である。人はいつまでも見えないものを見ようとしたり、聞こえないものを聞こうとしてきた*1。アニメを見るときに「視覚」を構成する「作画」が重要であると同時に「聴覚」を構成するBGM、効果音、そして声優が大事になってくるのもうなずけるのである。適切な場面に適切なBGMやキャラに合った声優選びが問われてくるのである。

そんな大事な感覚を担う器官である目と耳も大事であるのは間違いない。大事なところというのは大概守られていたり敏感だったりする。頭は髪の毛や頭蓋骨で守られているし、股間のブツだって陰毛で守られている。目や耳も体の他の部分に比べれば大概敏感である。目に何か入ったらあのジブリ映画よろしく叫びだしてしまう。耳も敏感だ。耳元に息を吹きかけられて変な声を出した経験はおそらくどんな人でも一度くらいはあるだろう。

そう、人は誰しも耳が弱いのである。男をつかむには胃袋をつかめ、というが耳をつかむというのも1つの手段ではないだろうか。そこのところ声優は本当にうまい商売をしていると思う。ただでさえ魅力的な声優の声は通常のアフレコスタジオで録音された音声で効いても当然魅力的なのだが、特殊な録音でされるとその魅力が割ととんでもないことになったりする。それがダミーヘッドマイクだ。マネキンの頭だけみたいになっているものの耳の部分にマイクが仕込まれていて、それを使って録音することによって通常とは比較にならないほど臨場感あふれるサウンドを体感することができる。こんな感じで聞こえてくる。

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音声の距離感、左右への振りが非常にダイナミックになるのと少しわかりづらいが左から右へ移動するのが通常の録音や編集では図り知れないくらい感じられる。どうだろう、話しかけられると全身が総毛立つようなゾワッとした感じがしてこないだろうか。耳の弱さを実感させられるのである。私なんかもう完全に虜になっている。

ここで例に出したものも女性向けであるのだが、なぜかこういう立体音響のような音源CDは同人では男性向けもあったりするのだが、商業作品だとほとんどが女性向けである。一回アニメイトの女性向けエリアにある「シチュエーションCDコーナー」に行ってみて欲しい。ツンデレCDとか妹に愛されすぎて眠れないCDとかそういうのをもはや凌駕したジャンルと物量の世界が広がっている。最近はダミーヘッドマイク収録作品も多いので男性声優に耳元で愛を囁かれる需要が高まっていると言えるだろう。

それとも男性オタクは女性声優に耳元で愛を囁かれたくないのだろうか。

*1:だからといって公序良俗に反してはいけないし声なき声を聞こうとされても困る。